物価高や人件費の上昇、慢性的な人手不足など、企業を取り巻く経営環境は大きく変化しています。その中で、新たな収益源の確保や事業の多角化を目的として、新規事業に挑戦する企業も増えています。また、各種補助金制度の後押しもあり、設備投資や新分野への進出を検討する企業は少なくありません。
しかしながら、新規事業は企業の成長につながる可能性がある反面、判断を誤れば会社全体の収益を圧迫するリスクもあります。中小企業白書でも、新事業展開に成功した企業では経常利益率が増加している割合が高い一方、成功していない企業では利益率が低下する割合が高いことが示されています。
だからこそ、「どう始めるか」だけでなく、「いつ撤退するか」という視点を持つことが重要です。

① 借入依存を高めすぎない
新規事業は将来への投資ですが、投資額が大きく借入への依存度が高くなるほど、途中で撤退する判断は難しくなります。
「ここまで投資したのだから続けよう」という心理が働きやすくなり、結果として損失が拡大するケースも少なくありません。
そのため、新規事業では無理のない投資規模とし、万が一計画どおりに進まなかった場合でも会社全体の資金繰りへ大きな影響を与えない資金計画を立てることが重要です。
② 撤退基準を事前に決める
撤退が難しい最大の理由は、「もう少し続ければ良くなるかもしれない」という期待です。
そのため、
・開始から○年経過しても目標を達成できない
・売上総利益が○円を下回る
・想定していた受注件数に届かない
など、数値と時期を組み合わせた撤退基準を事前に決めておくことが重要です。
感情ではなく、事実に基づいて判断できる仕組みを作ることが、経営者には求められます。
③ 営業利益ではなく売上総利益で考える
新規事業を撤退しても、人件費や家賃などの固定費はすぐにはなくならないケースがあります。
そのため、「営業利益が赤字だから撤退」「黒字だから継続」という単純な判断ではなく、その事業がどれだけ売上総利益を生み、本業の固定費負担に貢献しているかまで確認する必要があります。
経営判断では、「その事業単体の利益」だけでなく、「会社全体への利益貢献」という視点も欠かせません。
④ 本業への影響を考慮する
新規事業の目的は、その事業単体で利益を上げることだけではありません。
例えば、新規事業をきっかけに本業の受注が増えたり、新たな顧客との接点が生まれたりすることもあります。 このような相乗効果(シナジー)がある場合は、新規事業単体の損益だけでは判断できません。
一方で、本業の人材や資金を過度に投入し、本業の競争力まで低下させているのであれば、撤退も重要な経営判断になります。
「やめる勇気」が次の成長をつくる
新規事業は企業の成長に欠かせない取り組みです。しかし、新規事業では、「続ける基準」と同じくらい「撤退する基準」を明確にしておくことが重要です。
経営資源である「人・モノ・カネ・時間」は限られています。成果が見込めない事業に経営資源を投入し続けることは、新たな成長機会を逃すことにもつながります。
新規事業に挑戦する際は、「始め方」だけでなく、「撤退も経営判断の一つ」であることを前提に、冷静な基準を持って取り組むことが重要です。
ゆびすいコンサルティングでは、新規事業に係る補助金申請、資金調達、事業計画策定支援まで、一貫してサポートしております。
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